【デスノートの作風】
作品の中には、裏の裏の裏を読むといった「知能戦」や「心理戦」が中心にある。これに類する他作品としては、『ジョジョの奇妙な冒険』、『勇午』、『遊戯王』、『HUNTER×HUNTER』などが挙げられる。手法としてはミステリーなどで使われる一種の倒叙の形式になっており、夜神月とそれを追うL、メロ、ニアが互いを追いつめる要素がこの作品の見所の一つといえる。また、テンポが重視され、ドラマやメッセージ性は意図的に極力削ぎ落とされている。
【注目点】
ストーリーにおいて特筆すべきは、主人公が犯罪者であり、悪役の視点で物語が進行している点である。ただし、最終回では彼が必ずしも悪かどうかは断定せず、正義とは何か、という謎を読者に問いかける形で終っている。 さらに重要なのは、大量殺人者であるキラが、「神にも救世主にもなりうる」ということである。月は私利私欲のためにデスノートを使うことはなく、犯罪者を裁くために使用しており、それゆえキラの存在を単純に「悪」と言い切るのは難しい。死刑制度や犯罪被害者の今後のあり方、刑罰の厳罰化など、今日の社会が持つ闇の部分にスポットを当てた作品とも言える。月や魅上は世間一般の感覚からすれば、善人の部類に入ると考えられる人間だが、デスノートの力を手にすることによって、いとも簡単に大量殺人に手を染め、それを正当化してしまう人間の心の闇もまた描かれている。絶対的正義の否定や法律の存在意義を暗に考えさせる部分もみられ、映画版においては法律を独善の対極にある存在として描かれている。このことから、異色作と評価されることが多い(ただし、作品終了後のインタビューでは作者である大場つぐみ・小畑健両人は善悪論をテーマとは考えておらず、各読者が個人で考えるべき事という要旨の発言をしており、両氏とも個人的な考えでは月を悪だと言い切っている)。
また、探偵側・犯罪者側のどちらも、一般人の常識に捉われておらず、ただ自己の信念のために戦っている。際立ったカリスマ同士のバトルであることも、本作の大きな特徴といえる。